下町情緒が今も漂う台東区浅草にある浅草寺 (せんそうじ)。飛鳥時代からの観音さまがまつられていると言われ、縁結びや商売繁盛といった特定のご利益ではなく、願いごと全般が叶うという何ともありがたい「所願成就」がご利益です。雷門から宝蔵門まで続く仲見世商店街とともに、国内はもとより海外からも毎年多くの人が訪れる人気の観光スポットです。

浅草寺の境内には、本堂と五重塔のほかにも、空襲で本堂が焼失したあと仮本堂として観音さまが安置されていた淡島堂や、かつては池の中にあったという弁天堂など、10 のお堂や門があり、歴史好きの人は境内をゆっくりと見て回ると、ちょっとした史跡巡りが楽しめます。

東京浅草寺 - 東京で訪れたい場所 12 選国内のベスト観光スポット 11 選の中でも注目の見どころ (東京 23 区の全ガイドはこちら)

浅草寺のはじまり

昔々の推古天皇 33 年 (628 年)、檜前浜成と竹成 (ひのくまのはまなり、たけなり) の兄弟が隅田川で漁をしていると、一体の仏像が網にかかります。兄弟は仏像を川に投げ戻しますが、その後も魚は一向に捕れず、網にかかるのはこの仏像だけ。仕方ないので持ち帰ってお役人の土師中知 (はじのなかとも : 名前には諸説あり) に見せると、聖観世音菩薩であることが判明。中知はその後出家し、自宅を寺として礼拝供養に生涯をささげました、というのが浅草寺のはじまりです。

その後の大化元年 (645 年)、浅草にやってきた勝海上人 (しょうかいしょうにん) が、夢のお告げに従ってこの観音さまを秘仏と定め、観音堂を建立。それ以来観音さまは、錠のかかった何重もの厨子に安置され、浅草寺の住職でさえも拝見を慎んでいるそうです。

浅草寺の見どころ

浅草寺のメインはやはり観音さまがまつられている本堂のご参拝。仁王像が安置された宝蔵門をくぐり抜けると、正面には本瓦ぶきの屋根が印象的な本堂が、左手には塔頂部の相輪がまぶしい五重塔がそびえたってます。宝蔵門と本堂の中間あたりには、煙が立ち上る常香炉 (じょうこうろ) があり、この煙を浴びると体の悪いところが良くなると言われています。

本堂手前のお水捨 (おみずや) で身を清めたら、いざご参拝。大提灯を見上げながら階段を上がると、大きなお賽銭箱がある外陣へ。ここから、観音さまがまつられた御宮殿 (ごくうでん) を目にすることができます。秘仏の観音さまを見ることはできませんが、きらびやかな御宮殿を前にして所願成就をお祈りしましょう。

浅草寺近くの見どころ

浅草寺がある浅草には、今ではそれ自体が人気の観光スポットとなっている仲見世商店街をはじめ、日本最古の遊園地と言われる花やしき® など、徒歩圏内に多くの見どころがあります。浅草から隅田川の対岸に目を向けると、ビールジョッキ型のアサヒビール本社と金色のオブジェ「フラムドール」、背後の東京スカイツリー® が見事な景観を織りなしており、この東京スカイツリー® にものんびりと歩いて行くことができます。

春には桜が美しい隅田川ですが、ここから水上バスに乗ると、浜離宮や日の出桟橋、お台場海浜公園まで行くことができます。浅草寺の参拝後は、斬新なデザインの「ヒミコ」や「エメラルダス」に乗って、隅田川のクルーズを楽しみながら次の目的地に向かうのもおすすめのコースです。

東京浅草寺

Stephan Audiger | 旅のプロ