箱根エリアの景勝地 10 選

神奈川、静岡、東京、山梨の 4 県にまたがる広大な富士箱根伊豆国立公園は、富士山を中心とする富士山地域、温泉地や宿場町として有名な箱根地域、美しい海と眺望に恵まれた伊豆半島地域、洋上の島々からなる伊豆諸島地域の 4 地域に分かれています。

箱根地域では箱根火山の雄大な自然と、古来より日本の東西を結ぶ交通の要衝としての歴史や文化を目にすることができます。そして箱根火山の活動の恵みによって生まれた数々の温泉地はそれぞれに個性があり、何度も訪れたくなる場所です。

芦ノ湖は、箱根火山の山頂部にある最大水深 43.5 m のカルデラ湖。富士山や箱根の山々を眺めつつ遊覧船で巡ることもできる大きな湖です。

9 つの頭を持つ暴れ龍「九頭龍」が住んでいたという伝説もある神秘的な美しい湖で、湖畔には九頭龍ゆかりの歴史ある箱根神社、九頭龍神社があります。南端部の湖岸、旧東海道の箱根宿沿いには美しい杉の巨木が連なり、有名な箱根の関所も復元されています。周辺部には温泉を備えたホテルや旅館が建ち並び、首都圏から気軽に行ける人気のある観光地です。

箱根山と愛鷹山の間を流れる黄瀬川と佐野川との合流点付近にある五竜の滝。幅は約 100 ｍ、高さは約 12 m あり、静岡県の天然記念物に指定されています。

溶岩の断崖を流れ落ちる 5 条の滝で、向かって左側にある黄瀬川の本流にかかる 3 条の滝を雄滝、右側の支流にかかる 2 条の滝を雌滝と呼び、さらに左から雪解、富士見、月見、銚子、狭衣と風流な名前が付けられています。約 1 万年前の噴火で流れ出た溶岩流の末端にあたり、何層もの溶岩が重なっている様子が見られます。

箱根山の頂上部はカルデラ地形になっており、その外輪山をなす山々の 1 つが標高 1,169 m の明神ヶ岳。有名な温泉地の強羅から日帰り登山も可能で、多くの登山者が訪れる山です。

この山の魅力は山頂からの展望が良いこと。東には日本一の富士山、南西には芦ノ湖、そして噴煙を上げる大涌谷も眺めることができます。登山は年間を通じて楽しめますが、特におすすめなのは山麓にヤマザクラやヤマツツジが美しく咲く 4 月から 5 月にかけて。積雪期にはアイゼンや防寒対策が必要になります。

今なお噴気を上げ続ける活火山箱根の様子が見られる大涌谷。噴気に含まれる成分で薄黄色に染まった谷は迫力があり、自然の荒々しさが感じられます。

箱根火山の中央火口丘である冠ヶ岳、その北側斜面の標高 800 m から 1,000 m に当たる部分が大涌谷で、箱根ロープウェイに乗れば、空からその風景を眺めることもできます。そして大涌谷と言えば、温泉のお湯でゆでた黒玉子が名物。温泉成分に反応して殻が真っ黒になっており、1 個食べると寿命が 7 年延びると言われています。

箱根の小桶谷、蛇骨川上流にある千条の滝。高さ 3 m の小さな滝ですが、横幅が 25 mあり、苔むした岩肌を千本の糸のように水が流れ落ちることからこの名が付きました。

細く繊細な滝の様子は、豪快な大瀑布とは違った趣があり、その美しさには心が癒やされます。深い森に覆われた場所にあり、7 月頃にはゲンジボタルを見ることもでき、周辺にはモミジやカエデが多いことから初夏は新緑、秋は紅葉の名所でもあります。静寂の中でゆっくりと過ごしましょう。

標高 3,776 m、日本最高峰の富士山。美しい円すい形の火山で、その優美な山容は国外でも日本の象徴として広く知られています。古来より霊峰とされ、山頂部には浅間大神が鎮座するとされて神聖視されてきました。

箱根からは北西側にあたり、あらゆる場所からその美しい姿を目にすることができます。元箱根からは芦ノ湖越しに、箱根ロープウェイに乗れば空中から、そして北側の乙女峠からは富士山の全貌を見ることができます。箱根スカイラインや芦ノ湖スカイラインのドライブもおすすめです。

箱根山のカルデラ内北部にある仙石原の「すすき草原」。秋になると一面に黄金のススキの穂が揺れる美しい風景で有名です。

見頃は 9 月下旬から 11 月上旬。早めの時期は穂が銀色に輝き、秋が深まるにつれて淡い金色へと変わります。遊歩道も整備されており、左右をススキに囲まれた一本道は、情緒ある撮影スポットとして大人気。3 月には草原内に雑木が増えるのを防ぐために迫力ある山焼きが行われ、夏には若々しい青いススキが風になびき、それぞれ秋とは趣の異なる風景も楽しめます。

箱根外輪山の一角をなす、標高 1,101 ｍ の三国山。かつては駿河、相模、伊豆の 3 つの国の境にあったためにこの名が付きました。現在は静岡県と神奈川県の境になっています。

芦ノ湖スカイラインの山伏峠 (やんぶしとうげ) の駐車スペースから片道 1 時間ほどで行ける山頂からは、箱根と芦ノ湖、そして富士山の絶景を堪能することができます。新緑時期や紅葉期には、自然の美しさを楽しみながらの山歩きがおすすめ。初心者やファミリーも楽しめるコースですが、足回りはしっかりと準備して行きましょう。

腕白な金太郎伝説で有名な足柄山。歌枕としても古くから知られる山ですが、現在でははっきりと「足柄山」と呼ばれる山はなく、足柄峠を中心とする山地一帯を指すとも、また箱根山の外輪山の最高峰である標高 1,213 m の金時山を指すとも言われています。

金太郎の生家跡、金太郎の力水、金太郎のモデルとなった坂田公時が祭神である公時神社などをたどりつつ、金時山の山頂を目指す 4 時間弱の山歩きを楽しむこともできます。山頂からは富士山と芦ノ湖の絶景を満喫しましょう。