ミラノで人気の多くの郷土料理には、ミラノの農業の伝統や、クッチーナ ポーヴェラ (貧乏人の料理) の時代との強いつながりがあります。その当時、イタリアの庶民階級の料理人たちは、手に入るものを何でも使って料理を作る必要がありました。そのため、多くの郷土料理に米、ポレンタ、バター、豚肉など、ミラノ周辺の農業地域で生産される農産物が使われています。
イタリアのほかの地域とは異なり、ミラノではオリーブオイルやトマトを使った料理を見かけることはありません。この地域のレストランでは、クリーミーなリゾット、バターで揚げた子牛肉のカツレツ、子牛肉とモルタデッラのミートボール、トリッパと豆のスープなどを味わうことができます。ベジタリアンの方には、スープボウルで提供される野菜たっぷりのミラノ風ミネストローネがおすすめです。このガイドでは、ミラノの人々に愛される有名な地元グルメをご紹介します。
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ミラノ風リゾット
ミラノの名物料理
- 食事
周囲を田んぼに囲まれたミラノを代表する料理といえばミラノ風リゾット。白米、バター、玉ねぎ、牛の骨髄、パルミジャーノチーズを使い、クリーミーで黄金色にじっくりと炊き上げた伝統的な料理です。
ミラノ風リゾットをその特徴的な黄色に色づける重要な食材がサフラン。金よりも高額になることもあるスパイスです。言い伝えによれば、リゾットは 16 世紀にミラノで初めて作られました。サフランを使ってドゥオモの窓を黄色に染めた見習いが、白米にスパイスを加えることを思いついたと言われています。
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ミネストローネ ミラネーゼ
ベジタリアンにぴったりの濃厚なスープ
- 食事
ミネストローネ ミラネーゼは、地元の人が年中好んで食べる伝統的な野菜スープ。正しいレシピはなく、旬の野菜や手に入りやすい食材で作られます。基本的には、玉ねぎ、豆、ニンジン、セロリ、ジャガイモなどが使われます。
ミラノでは、風味を増すために、すりおろしたパルミジャーノチーズをトッピングする人もいます。このスープがほかのイタリア料理と違うのは、パスタの代わりに米が使われていること。レストランでは、夏は冷たく爽やかに、冬は温かくして提供されます。
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ピアディーナ
肉とチーズをはさんだイタリアの薄いパン
- 格安
- 食事
ミラノではランチタイムになると、地元の人は美味しいピアディーナを求めて、ピアディネリアに集まります。ピアディーナは、小麦粉、水、オリーブオイルまたはラードの 3 つの材料だけで作られる、イーストを使用しないイタリアの薄いパン。材料を混ぜた後、生地を丸く伸ばして鉄板の上で焼きます。
薄いパンがカリッと黄金色に焼けたところで、さまざまな種類のチーズ、ハム、野菜を挟みます。ピアディーナは街のどこでも購入でき、ビーガンやベジタリアン向けのメニューも揃っています。ミラノ中央駅の近くにあるピアディネリア アルティジャナーレ パスコリは、ミラノで最も美味しいピアディーナが食べられる、地元で人気のレストランです。
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モンデギーリ
ミラノ風ミートボール
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モンデギーリは、ひき肉、野菜、シリアル、ハーブ、スパイスで作られた、柔らかくジューシーなミートボール。卵と牛乳に浸したパンを材料に混ぜてボール状にし、フライパン、オーブン、グリルで焼いたり、揚げたりして仕上げます。
歴史的には、モンテギーリは、いわゆる「ポーヴェラ クッチーナ」(貧しい台所) の料理と考えられていました。というのも、通常、ローストした子牛肉やモルタデッラ (豚肉のソーセージ) の残りで作られるからです。今では、高級レストランでグルメな前菜として、またはアペリティフ タイムに発泡酒や白ワインとともに食べられるようになっています。
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ブセッカ
トリッパと豆の健康的で栄養価の高いスープ
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ブセッカ (ミラノの方言で「トリッパ」) は具だくさんのスープです。ミラノの寒い冬の日に体を温めてくれる伝統的な冬のスープで、だし汁、トリッパ (羊や牛の胃の内壁)、豆、さまざまな季節の野菜、トマトピューレで作られます。
レストランによってはメニューにトリッパ アッラ ミラネーゼとも記載されています。もともとは、特別な日を祝うための農家の人たちのささやかな食事から生まれた田舎料理です。
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カソウラ
豚肉と野菜の温かいシチュー
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カソウラが街中のレストランのメニューに登場すると、ミラノの人たちの多くは冬の訪れを感じます。カソウラは、頭から尻尾まで無駄にしないイタリア料理レシピに従った、温かい豚肉と野菜のシチュー。鼻、耳、肋骨、足、尻尾など、豚のすべての部位を鍋に入れて作られます。
冬の風物詩と言えるシチューは通常、クリーミーなポレンタとともに味わいます。聖アントニオ修道院長の祝日であり、豚の屠殺シーズンが終わる 1 月 17 日にカソウラを食べるという伝統があります。聖アントニオ修道院長は、肉屋と豚に関するあらゆるものの守護聖人です。
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ミラノ風コトレッタ (カツレツ)
12 世紀から続くミラノの名物料理
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ミラノ風コトレッタはミラノ版シュニッツェル。厚くて柔らかい平たい子牛肉にサクサクのパン粉をつけ、バターで揚げたものです。カジュアルなトラットリアから高級レストランまで、ミラノの多くのレストランで味わえる定番料理です。飲食店では、骨付きまたは骨なしのコトレッタを、フライドポテト、ロケットサラダ、ミラノ風リゾットなどのサイドメニューと味わえます。
コトレッタは、ミラノがオーストリア=ハンガリー帝国の一部であった 17 世紀から 18 世紀に考案されたと言われています。しかし、地元では、1134 年にミラノのサン タンブロージョ教会で、これと似た料理が修道士に振る舞われたときからあったと言われています。
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オッソブッコ
じっくり煮込んだミラノの定番料理
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オッソブッコは直訳すると「穴のあいた骨」。子牛のすね肉のワイン煮込みです。子牛のすね肉は、野菜とワインを加えた牛肉のスープで、フォークで切って口の中でとろけるほど柔らかくなるまで何時間もかけてじっくりと煮込まれます。
盛り付けの前に、ニンニクのみじん切り、潰したアンチョビ、パセリ、レモンの皮で作ったレリッシュ (グレモラータ) をトッピングするのが一般的。オッソブッコはポレンタかミラノ風リゾットと一緒に味わいます。ミラノのほとんどの伝統的なレストランでは、オッソブッコを注文できます。
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アロスティチーノ アンネガート
白ワインでじっくり煮込んだジューシーな子牛肉
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アロスティチーノ アンネガートは地元ではロスティン ネガと呼ばれ、「溺れたロースト」を意味します。ミラノ料理の伝統を象徴する食材であるバター、ワイン、子牛肉を使った郷土料理として愛されています。まず、子牛の骨付きロース肉とパンチェッタをバターで焼きます。
ワイン、レモン汁、ブラウンブイヨン、セージ、ローズマリーを加えた、お肉たっぷりのシチューは、鍋の蓋をしたままじっくりと煮込むと、各段に柔らかくなります。ジューシーな子牛肉は通常、リゾット、ポレンタ、マッシュポテト、ローストポテトと一緒に食べられます。
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パネトーネ
ドライフルーツ入りの菓子パン
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ミラノはパネトーネ発祥の地。パネトーネは、干しブドウや砂糖漬けのフルーツが入った、イタリアで有名な甘いケーキのようなパンです。背の高いドーム型のケーキは、クリスマスや新年にホットチョコレート、アイスクリーム、エッグノッグとともに楽しむのが伝統です。
クリスマスにミラノを訪れるなら、このケーキを友人や家族への素敵な贈り物にしてはいかがでしょうか。スーパーマーケットでは、大量生産されたパネトーネが手に入りますが、奮発して地元のパン屋で焼きたてを買うのがおすすめです。ちょっとしたミラノ料理の豆知識 : パネトーネはすべて天然酵母で作られることが法律で定められています。