釜山の名所・有名建築 10 選

海東龍宮寺 (ヘドンヨングンサ) は、真剣に祈れば願いをひとつ叶えてくれると言われているお寺です。そのため、韓国全土から常に多くの人が参拝に訪れています。一般的に寺院は山にあるものですが、龍宮寺は海辺にあります。境内には、海や龍、慈悲の化身である菩薩のモチーフが点在し、深い宗教的メッセージを伝えています。

十二支の動物の神像が並ぶ小道の終わりには 108 段の階段があり、それを半ば伝説的な中国の仏僧、布袋の像が見守っています。女性が像の腹に触れば男児を授かるという説もあります。地獄に落ちた魂を救うという地蔵菩薩の像が日出岩にそびえています。毎年、この岩の上で魚を海に戻す儀式が行われます。青い海に面したこの寺院で、美しい景色に囲まれながら、心を無にして、夢が叶うよう祈りを捧げてみましょう。

甘川 (カムチョン) 文化村は、朝鮮戦争で故郷を離れざるをえなかった避難民によって造られました。しかし、今では独特の建築と路地で多くの観光客を魅了するアートの村として知られています。釜山市沙下区に位置するこの村は、都市再生プロジェクトによって韓国の「サントリーニ」に生まれ変わりました。プロジェクト開始当時、避難民と太極道 (韓国の新興宗教) の信者によって形成された村は、人口の減少によって衰退し始めていました。しかし、このプロジェクトで村はアーティストの創作活動の場として再生され、その結果、住民も増え、観光客も多く訪れるようになったのです。

尾根に沿って造られた段構造と入り組んだ路地が、他にはない景観を生み出しています。アートが盛んな観光地として、甘川文化村はさまざまな体験や見どころを提供。また、数々のアート作品と調和した雰囲気のある夜景も楽しめます。

慶州 (キョンジュ) 歴史地域には、数千年にわたり古代国家新羅の首都だった慶州の歴史と文化が残されています。2000 年 12 月にユネスコの世界遺産に登録されたこの地域は、保存されている遺跡の性質によって 5 つの地区に分けられます。仏教美術の宝庫である南山 (ナムサン) 地区、新羅の王宮があった月城 (ウォルソン) 区、王陵を含む古墓群がある大陵苑 (テヌンウォン) 地区、新羅の仏教文化の真髄を伝える皇龍寺 (ファンリョンサ) 地区、古都の防衛施設が集中する山城 (サンソン) 区です。

慶州歴史地域では、新羅の素晴らしい芸術と日常文化を垣間見ることができます。慶州は、ビザンチン帝国、イスラム帝国、唐王朝の首都に匹敵する規模と繁栄を誇る都市でした。その輝かしい歴史と文化の跡が今も残されています。史跡ツアーに参加し、歴史ある慶州の雅な雰囲気に浸ってみましょう。

石仏寺 (ソップルサ) には、自然の巨大な岩壁に囲まれるように地上と地下を結ぶ入口や本堂が置かれ、他の仏閣にはない独特の雰囲気があります。そびえ立つ岩を彫った仏像も圧巻です。寺院を取り囲む天然岩に彫られているため、一段と神秘的な印象を与えます。実際、これらの石像が寺院名の「石仏寺」、愛称の「屏風岩」の由来となっています。

石仏寺は金井山にある他の寺院や僧院と比べて歴史が浅く (80 年)、規模的にもかなり小さな寺ですが、美しい景観が評判を呼び、多くの観光客を引き付けています。僧侶がお経を唱えながら打つ木柾の音に耳を澄ませ、世俗の煩わしさから解放されるひとときを過ごしてみませんか。

韓国に現存する最大の要塞の 1 つである金井山城 (クムジョンサンソン)。ここには外国勢力に対する長い抵抗の歴史を示す痕跡が残っています。建造当初は全方向に高い門を構える壮大な城でした。正確な築年は不明ですが、三国時代に築城が始まり、李氏朝鮮時代に再建されたと考えられています。金井山城は、壬辰倭乱 (慶長文禄の役、1592 ～ 1598 年) で朝鮮半島の拠点となり、侵略に対する朝鮮の人の激しい抵抗と国の長い試練の歴史を目撃してきました。

美しい山並みを背にした城郭を散策すると、敵と最後まで戦った当時の人々の勇気と愛国心がしみじみと感じられるでしょう。城の上からは、静かに流れる洛東江 (ナクトンガン) と広大な金海 (キムヘ) 平野が見渡せます。周囲の景色と相まって他にはない叙情的な雰囲気を醸し出す金井山城を訪れ、釜山の歴史をたどってみましょう。

金井山 (クムジョンサン) の中腹にある梵魚寺 (ポモサ) は、千年を超える歴史と伝統を誇る寺院です。多くの僧侶が修行に訪れる寺院として、昔から高僧を多数輩出してきました。重要文化財もたくさんあります。梵魚寺は 7 世紀に創建されて以来繁栄を続けていましたが、壬辰倭乱 (文禄慶長の役、1592 ～ 1598 年) で損壊してしまいました。その後再建されましたが再び焼失。しかし、こうした試練にあいながらも、梵魚寺はこの地域の高名な仏教寺院としての地位を維持してきました。

梵魚寺は、地域社会に釈迦の教えを広めて実践するために、社会福祉や教育プログラムなど、さまざまな仏教儀式に触れる機会を広く提供しています。また、寺院での日常生活を体験し、現代の慌ただしい生活から離れて自分を見つめ直す時間を持つ修行体験も有名です。静かな美しいお寺で穏やかな時間を過ごし、心の中を見つめ、本当の自分と向き合ってみませんか。

天馬塚 (チョンマチョン) は、新羅第 22 代の智証王が埋葬されたと考えられている巨大な王陵です。1973 年に天馬刀、金の王冠、帽子などの埋葬品が多数発掘され、白馬が空を翔ける壁画にちなんで天馬塚と名付けられました。内部が一般公開されている新羅の古墳はここだけです。

天馬塚に入ると、新羅時代の人々の日常生活や価値観が垣間見えます。多くの学術研究が行われていますが、まだ謎も残っています。近年、天馬塚は元の形に近い姿に復元されました。この古墳ツアーに参加して、歴史的意味を探り、豊かな時間を生きた新羅の王族の生活に思いを馳せてみませんか。ツアーの後は、近くの公園で美しい景色を眺めながら落ち着いたひとときを過ごしましょう。

半月城 (パンウォルソン) と瞻星台 (チョムソンデ) の中間に位置する鶏林 (ケリム) は、新羅建国以来続く森で、慶州 (キョンジュ) 金氏の始祖である金閼智の生誕地として語り継がれています。小さな森ですが、状態の良い古木がたくさんあり、昔と変わらぬ景観を保っています。神話によると、新羅の脱解王がこの森で雄鶏の鳴き声を聞き、家来を調べに行かせたところ、木の枝に金の箱がぶら下がっていて箱の中に赤ん坊がいるのが見つかったそうです。その子こそ、慶州金氏の始祖、金閼智と言われています。この伝説の舞台となった鶏林は、神聖な森とされてきました。

鶏林は景色も素晴らしく、春には菜の花が咲き誇り、秋にはヤナギやケヤキ、カエデなどの背の高い大木が赤や黄色に色づきます。瞻星台、慶州東部史跡地帯、半月城に近く、交通の便の良い場所にあるので、他の史跡と一緒に気軽に見て回ることができます。青空の下、緑豊かな木々が茂る神聖な森で畏敬の念に打たれてみませんか。

釜山の太宗台 (テジョンデ) にある影島 (ヨンド) 灯台は、1902 年 12 月に完成して以来、100 年以上にわたって釜山港に向かう船の案内役を務めています。近年の増築工事により、影島灯台は灯台施設、美術展示ホール、自然史博物館からなる複合空間に生まれ変わりました。展示ホールではさまざまな芸術作品が紹介され、自然史博物館にはこの地域で見つかった恐竜の化石が展示されています。

影島灯台の入り口を通り、階段を上がると展望台から太宗台を一望できます。晴れた日には、やかん島や冬栢島 (トンベッソム)、対馬をも見渡せます。夜に太宗台を訪れると、ライトアップされた影島灯台が見られます。船の安全を守る灯台の明かりが織りなす美しい夜景は、心に安らぎをもたらしてくれます。

釜山近代歴史館は、釜山の貴重な近現代歴史資料を収集して展示し、関連する歴史についての教育と体験を市民に提供しています。何度も外国の侵略を受けた都市、釜山の近代史を学べる場所です。歴史館には、日本統治時代に建てられた西洋風の建物が使われており、史実を物語る建物も見どころとなっています。

常設展示は、大きく「開港時代の釜山」「日本統治時代の釜山」「近代都市の釜山」という 3 つのテーマのもとで外国の侵略と搾取に苦しめられた釜山の近代史を紹介しています。ほかにも、近代の中心街だった大庁洞と路面電車の模型が置かれた「釜山の近代市街」のホールなど、さまざまな展示があります。何世代にもわたる努力の末、釜山は悲劇的な歴史を乗り越え、今日の姿を取り戻しました。その歴史に目を向けてみましょう。